日々の身辺雑記や考えたことなどを徒然なるままに書き連ねる「断腸亭日録」です。
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断腸亭日録~自転車日記
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2012.03.09 Fri
「谷根千」めぐり~結界の風景
ハンナリ・サイクリング倶楽部」のbebeさん(別名、しんちゃん)と二人で、いわゆる「谷根千」探索サイクリングに行ってきた(ACクロスバイク)。

因みに、「谷根千」というのは、谷中・根津・千駄木一帯およびその界隈の略号である。

谷中墓地で有名な「谷中」という地名は、たぶん、台地と低地の中間に位置する「低台地」という意味で、谷中から東に向かって降りていくと、案の定、「下谷(したや)」という地名がある(東京の地名では、「谷」は「や」と読むことが多い)。
「根津」という地名も、おそらく、「根=尾根」、「津=入り込んだ谷」という意味であろう。

ことほどさように、「谷根千」は、武蔵野台地(もしくは本郷台地)東端とその眼下に広がる低湿地帯(「野」)とがせめぎ合う地形の上に展開している。

台地(や斜面林)の下を縁取るように付いた道のことを、関東では「ハケの道」と言うことがある。
「ハケ」というのは、水ハケのハケのことで、台地からしみでた水を受け止めるための水路をそこに掘ったりする。
この台地を縁取るように掘られた水路は、たとえば、築城する際には内濠の役割を果たすことにもなるのだが、水路を掘ったその土を積み上げることによって、その水路沿いに細長い「乾地」が出来上がる。
その細長い乾地がハケの道である・・・。

昌平橋から北に向かって走る不忍通りは、私が想像するに、武蔵野台地東端に形成された、いわば「巨大化したハケの道」で、件の「谷根千」は、まさに、この不忍通り沿いに展開している。
面白い地形なので、江戸期以来、景勝地として知られるところでもある。

東京地形図
(東京東部地形図。南北に流れる太い川が隅田川。黄色が武蔵野台地。水色が低地で、縄文期にはほぼ海だったところ。真ん中上のぽつんとある円形の水地が不忍池)

不忍通りは、武蔵野台地(もしくは本郷台地)東端を縁取るハケの道であるが、このあたりの地形を面白くしているのは、すぐ東には、飛鳥山まで続く上野台地が控えており、全体としては、谷を形成していることである。
江戸期以来、このあたりを景勝地としていたのは、まさに、この凹凸のある地形ゆえであるが、そのため、「谷根千」を東西に抜けようとすると、必ず、坂を上り下りしなければならない(と言っても、せいぜいが標高20メートルぐらいだが)。
だから、この界隈には、有名な坂も数多い。
たとえば、今や実際に富士山を見ることができる唯一の「富士見坂」(地図)などは、上野台地の側から、谷筋に降りる道である。

IMG_0081_20120309051019.jpg
(上野台地へ登る「三浦坂」。あまり有名ではないこの坂の途中には、猫グッズで知られる「ねんねこ屋」があるが、その店を真剣に覗き込むしんちゃんの姿も写っている)

江戸明治期から、「谷根千」界隈が人々から好まれたのには、実は、現在とはまったく違う理由もある。
明治の終わり頃までは、このあたりが江戸という巨大な町の北辺だったからである。
当時は、上野の山の向こうは、田園地帯が広がっていた。
台地からは、長閑な田園が見渡せる絶景ポイントが多かったためでもある。

たとえば、江戸期には、谷中(やなか)のちょっと北の「道灌山」(現「西日暮里公園」・地図)からは、こんな風景を眺めることができた。

道灌山
(広重の「道灌山」。「山」と言っても、標高わずか20メートルぐらい。現在ではこの崖のすぐ下に「西日暮里駅」がある)

つでに、もう一枚。

道灌山虫聞之図
(広重「道灌山虫聞之図」。遠景に連なる人家は、奥州日光街道筋の千住宿あたりであろうか)

明治の終わり頃になっても、「谷根千」より先は、長閑な田園地帯だったことは、たとえば、漱石の『三四郎』(1908[明治41]年作)の次のくだりを読んでもよく分かる。

 ・・・ある日の午後三四郎は例のごとくぶらついて、団子坂の上から、左へ折れて千駄木林町の広い通りへ出た。秋晴れといって、このごろは東京の空もいなかのように深く見える。こういう空の下に生きていると思うだけでも頭ははっきりする。そのうえ、野へ出れば申し分はない。気がのびのびして魂が大空ほどの大きさになる。それでいてからだ総体がしまってくる。だらしのない春ののどかさとは違う。三四郎は左右の生垣をながめながら、生まれてはじめての東京の秋をかぎつつやって来た。(中略)
 谷中と千駄木が谷で出会うと、いちばん低い所に小川が流れている。この小川を沿うて、町を左へ切れるとすぐ野に出る。川はまっすぐに北へ通っている。三四郎は東京へ来てから何べんもこの小川の向こう側を歩いて、何べんこっち側を歩いたかよく覚えている。美禰子の立っている所は、この小川が、ちょうど谷中の町を横切って根津へ抜ける石橋のそばである。
「もう一町ばかり歩けますか」と美禰子に聞いてみた。
「歩きます」
 二人はすぐ石橋を渡って、左へ折れた。人の家の路地のような所を十間ほど行き尽して、門の手前から板橋をこちら側へ渡り返して、しばらく川の縁を上ると、もう人は通らない。広い野である。・・・(夏目漱石『三四郎』)


引用の後半は、三四郎が美禰子(実に魅力的な女性である)と二人で、当時、団子坂下で有名だった菊人形を見た後で、散歩するシーンである。
九州から東京に出てきたばかりの三四郎は、大都市東京が、「谷中と千駄木が谷で出会う」小川に架かった「石橋」の所で、ぷっつりと切れるように消滅して、菫や蓮華の花の咲く田園地帯に変貌する様を見て、心が癒されるような解放感を抱いている。
この「小川」というのは、現在は暗渠化され通称「へび道」と呼ばれる藍染川のことである(因みに、文中の「石橋」があったのは、多分、ここ)。

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(藍染川を暗渠化して作られた道。「へび道」の延長線上にある「夜店通り」)

現在の「谷中銀座」あたりの細い路地が通る町屋は、当時は、田畑が広がっていたことがわかる。

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(「谷中銀座」では、メンチカツを食べた)

ともあれ、明治期までの「谷根千」は、町と野がせめぎ合う「辺境」であったのだが、現在では、いわば、都心と下町がせめぎ合う「結界」と言えるかもしれない。

千駄木団子坂花屋敷
(広重「千駄木団子坂花屋敷」)

このような地形を巧みに利用した例としては、「根津神社」を挙げることができる。

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(「根津神社」表門。ちょうど赤穂浪士討ち入りの元禄の頃、現在の地に造営された)

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(「根津神社」。左手の斜面が本郷台地で、ツツジの「森」になっている)

根津神社」は、ツツジの名所でもあるが、本郷台地の斜面にツツジを植えることによって、余り広くはない境内に、水墨画的な雄大さを持たせている。

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(ツツジ山に登る千本鳥居)

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(ツツジ山の下の池)

境内を散策したわれわれは、根津神社の前のかりんとう屋(「焼かりんとう本舗」)さんで、かりんとうを試食。
油で揚げない製法のかりんとうは、大変に美味しかった。

IMG_0073_20120309101930.jpg
(かわいらしい「焼かりんとう本舗」の店舗)

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(かりんとうを試食)

その後、われわれは、ギアをインナーローにして、台地を登ったり降りたりして、「谷中墓地」などに立ち寄った。

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(谷中の路地巡りは楽しい)

上野台地の尾根道沿いに上野公園まで出て、「東京芸術大学」構内(食堂と美術館)を探索する予定だったが、入試期間中にて入構制限がかけられていて入れなかった。

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(入構制限中の東京芸術大学)

仕方がないので、上野公園内の大道芸を見たり、不忍池で休憩したりした後、思いついて、上野の「ワイズロード」に寄ってみることにする。

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(ワイズロードで私の目を引いたのは、赤茶色のクロモリロードだったが、残念ながら、フォークがカーボンだった)

私は何も買わなかったが、自転車に嵌りつつある同行のしんちゃんはいろいろ買っていたようである。

こうして、浅草で一休みした後、立石の自転車屋「あさひ」に寄って、水元公園へまっしぐら。

時間が早かったので、「ハンナリ」でコーヒーを飲むことに・・・。
荷を解いて、コーヒーに口をつけようとしたところで、Gibsonさんが入ってきた。
奇遇ではあるが、最近、「ハンナリ」に行くと、誰がしか知り合いと遭遇することが多くて、これもまた、ここを訪れる一つの楽しみになってきた。

聞けば、手賀沼あたりを走ってこられたとのこと。
Gibsonさんと、手賀沼の美味しい店のこと、リュックのこと、確定申告のことなどを話す。

谷根千」は、大変に魅力的な地域だが、路地が狭く、店が小規模で、自転車を置く場所も少なく、坂も多いので、自転車で巡るにはあまり適していない。
なので、拠点になるところ(神社仏閣など)に自転車を止めておいて、徒歩でゆっくりと散策するのがよいと思う。
また、このあたりは、美味しそうな弁当屋さんが非常に多いので、気候が穏和な季節なら、弁当とお茶を買って、根津神社境内で食すのもよいだろう(ただし、弁当屋が日祭日にやっているかどうか、要調査)。

来たる20日に、今度は「ハンナリ・サイクリング倶楽部」の皆さんと「谷根千」めぐりをする予定。
それまでに、ややこしい路地を習得しておかなければ・・・。

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(本日使用した自転車・事故から復活を遂げたACクロスバイク)

走行距離:50キロ(ACクロス+ルイガノクロス)

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用
小さな旅(自転車)    Comment(14)   TrackBack(0)   Top↑

Comment
千駄木 Posted by kincyan
20日の予行演習すね。ご苦労様です。楽しみにしております。天気が崩れなければ素敵な谷めぐりになるでしょう。千駄木のあたりは母の育った場所で、懐かしいのか、東大近くの「藤村」という老舗羊羹屋で羊羹を買って大阪に送ると、とても喜んでくれたものです。20日は、美術館をパスして谷中霊園近くのパティシエイナムラショウゾウでケーキを買って、店の前で食べるという手もありますね。( 女性陣は立ち食いはにがてかな^^;)
2012.03.09 Fri 06:33 URL [ Edit ]
先日は、どうもでした Posted by Gibson
先日は、偶然の出会いで、ビックリしました。

なるほど~。
こんな楽しげな下見をされて来たのですね。
義母が日本医科大学に入院していたこともあり、
谷中銀座はカミサンと、よく散策していました。

20日は、参加の方向で調整中です。
2012.03.09 Fri 13:51 URL [ Edit ]
お墓でケーキ Posted by 断腸亭
kincyanさん

大きな美術館は無理かもしれませんね。
小さなギャラリーなどいかがでしょうか。
ただ、有名な「スカイ・ザ・バスハウス」は、生憎、祭日は休館。
「朝倉彫塑館」も、長期改装中にて休館ですが、他にもあると思います。
私が密かに狙っているのは、芸大の美術館です。
まあ、臨機応変といたしましょう。

お母さんの「生地」も行ってみましょう。
谷中墓地前の「パテェシエ・イナムラショウゾウ」、dadashinさんも最近の記事で書いてますねえ。
http://sasa06.blog92.fc2.com/blog-entry-519.html
是非、立ち寄りたい場所ですね。
洋菓子を買って、お墓で食べるのも乙かもしれません・・・。
2012.03.09 Fri 14:55 URL [ Edit ]
是非に・・・ Posted by 断腸亭
Gibsonさん

日医大は、私も10年ほど前に入院してました。
ちょうどツツジの季節だったので、点滴スタンドを押しながら、根津神社を散歩したものです。

20日、Gibsonさんがご参加なら心強いです。
以下、当日のあらましです。
是非、ご参加下さい。

・3月20日(火・祝)ハンナリサイクリング倶楽部「谷根千巡りサイクリング」
集合時間場所:9時「ハンナリ」前
予定経路図;
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=e045366336995dcf41153cac9a553b3d
往きは綾瀬千住経由で、帰りは浅草立石経由。
予定走行距離は、約35~40キロです。
雨天中止です。
より詳しい立ち寄り場所などは未定。
2012.03.09 Fri 14:59 URL [ Edit ]
へび道 Posted by たすけ
うっとりするような、くねくねルートですねぇ(笑)
はっきりしなくて申し訳ないのですが、ドタ参ありということでお願いしますm(_ _)m

最近は地下鉄ばかりで山手線を使うことがほとんどないのですが
田端~駒込区間の切通に入る瞬間が大好きな私ですf(^、^;
2012.03.09 Fri 17:49 URL [ Edit ]
ドタ参でもOK Posted by 断腸亭
たすけさん

北区・荒川区・台東区が境を接する辺りは、地形が面白いですね。
でも、高低がある分、道も複雑です。

また、「谷根千」地区は、戦災にあっていないので、古い街並みも、比較的残ってます。

ドタ参でも一向に構いません。
よろしかったら、ご参加を。
2012.03.10 Sat 03:08 URL [ Edit ]
Posted by NOB
どうもです~!
面白そうですね!
参加してもよろしいでしょうか?
万一、その場にいなければ、寝坊したものとして、おいて行ってくださって構いません
2012.03.10 Sat 10:36 URL [ Edit ]
奥深い「谷根千」 Posted by dadashin
『明治期までの「谷根千」は、町と野がせめぎ合う「辺境」であったのだが、現在では、いわば、都心と下町がせめぎ合う「結界」と言えるかもしれない』~ん。走る文筆家、断腸亭さんの味わいある文章ですね~。妙味あるこのエリアでポタリング、都合がつけば私も珍入させてください。谷中墓地で高級菓子店のケーキを立ち食い!ワォ!な企画満載なようですね。
2012.03.10 Sat 10:46 URL [ Edit ]
オモロサ百倍 Posted by 断腸亭
NOBさん

NOBさんがおられれば、オモロサ百倍です。
ゆっくりおしゃべりしながら、走りましょう!
2012.03.10 Sat 17:19 URL [ Edit ]
東京の良さが凝縮 Posted by 断腸亭
dadashinさん

空爆の被害が少なかった「谷根千」地区は、ある意味で、観光地化が進みすぎた浅草界隈よりも面白いかもしれません。
東京の良さが凝縮されたような一帯ですね。
ご都合が合えば、お気軽にご参加下さい。
2012.03.10 Sat 17:27 URL [ Edit ]
豪華キャスト Posted by TCR-N
参加表明されている方が多くにぎやかになりそうですね。
私も入れて下さい。
2012.03.11 Sun 15:19 URL [ Edit ]
もしかしたら・・・ Posted by 断腸亭
TCR-Nさん

ここまで書いておきながら、20日は、もしかしたら、行き先が「砂町銀座」に変更になるかもしれません。
いずれにせよ、集合時間場所は同じです。
それでもよろしかったら、是非、ご参加下さい。
なお、行き先変更の場合、当ブログ等でご連絡します。
2012.03.12 Mon 05:26 URL [ Edit ]
管理人のみ閲覧できます Posted by
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012.03.12 Mon 19:20 [ Edit ]
メール致しました Posted by 断腸亭
たけとむさん

コメント、ありがとうございます。
メール致しましたので、よろしくお願いします。
2012.03.14 Wed 07:19 URL [ Edit ]

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