日々の身辺雑記や考えたことなどを徒然なるままに書き連ねる「断腸亭日録」です。
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断腸亭日録~自転車日記
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2009.11.10 Tue
因幡の白兎の転落~死線を歩いた話
かつて考古学少年だった私は、今でも、考古学「爺」であり続け、いつでも何らかの考古学関係の本を読み散らしている。

最近の信頼すべき研究によって、縄文人と弥生人の平均寿命をかなり正確に割り出すことができるようになったそうである。
それによると、驚くべきことに、縄文人の平均寿命は14歳、弥生人のそれは25歳だというのだ(中橋孝博氏の説・『日本人の起源―古人骨からルーツを探る (講談社選書メチエ) 』)。

これを聞くと、今、生きている自分が、実に驚異的な標本に思えてくるどころか、老醜をさらしているとさえ思えてくる。
ただ、当時、こんなに平均寿命が低かった理由は、乳幼児および幼年時の死亡率が、現在に較べて格段に高かったことによるらしい。

私は、そのくだりを読みながら、自分にも思い当たる節があるなあと思った・・・。

これまで、酒を飲み過ぎたり、失恋をしたりして、死にそうな「思い」をしたことなら何度もあったが、本当に死にそうになったことが、実は、二度ある。

いずれも子どもの頃のことだが、今でも、ときたまその時の記憶が夢に出てきて魘(うな)される。

一度目は、たぶん、小学4年生の時のこと。

利根川で、釣りをしていたある秋の日のことである。

当時、利根川の堤防沿いには、廃船が何艘も係留放置されていた。
大抵は全長15メートルぐらいの木造の漁船で、幽霊船のような恐ろしげな船体が波に揺れていた。

しかし、そうした廃船は、釣り人には、絶好のポイントを提供してくれたのだ。
船体が陰を作るので、船底沿いに魚が集まるからだ。

ただ、普通は、堤防から2メートルぐらい離れたところに浮いているので、この船に飛び乗るには、係留綱を何人もで力一杯たぐり寄せておいて、近くに来たところでジャンプして飛び乗るわけだ。

その日も、学校が終わってから、すぐに川に急行し、釣りを始めた。
友達も数人いたと思うが、なぜかみんなは早めに切り上げて、私一人だけが残って、堤防から釣り糸をたれていた。
釣果虚しく、焦っていた私は、堤防沿いに次のポイントを求めてさまよっていた。
お馴染みの廃船が浮かんでいたので、そこから釣ってみようと思ったのだが、生憎、船は堤防から2メートル以上離れたところにあって、飛び移ることができそうにない。
綱を引いてみたが、体重20キロ代の小学生が満身の力を込めて引いてみたところで、蟻が雀の死骸を引くようなものである。

一度は諦めたものの、どうにか乗り移れないものか、廃船の前を行ったり来たりしていたのだが、ふと船と堤防の間をのぞき込むと、ロープで繋がれたドラム缶が数個、河面に浮いていたのである。
たぶん、船と堤防がぶつかった時の緩衝体として、ドラム缶が浮かべられていたのだと思う。

私は、閃いた!
因幡の白ウサギよろしく、そのドラム缶を渡って、舷側のフックに手をかければ、簡単にたどり着けるのではないか?

今から考えれば実に恐ろしいこの「閃き」を実行に移すべく、まず、先に釣り竿とバケツを船に投げ込み、堤防に手をかけてぶら下がり、ドラム缶に足を乗せた。
そして、そおっと手を離し、足を一個目のドラム缶に降ろして、すぐに二個目のドラム缶の飛び移ろうとしたその瞬間、ドラム缶はぐるりと回り、私はどぼんと川に落ちた。

前にも書いたが、利根川の川幅は約1キロ、堤防沿いの水深は満潮時で約2メートル。
しかも、堤防の高さは水面から垂直に1.5メートルほど。
泳ぎは得意だったが、堤防沿いにどんなに泳いでみたところで上陸するすべはない・・・。
普通に考えれば、絶望的である。

私は、必死にドラム缶にしがみついていた。
波に揺られてドラム缶が回らないように、できるだけ深く手をかけて浮かんでいた。
しばらくは、我が身にふりかかった災難の意味が理解できず、茫然としていたが、船と堤防に挟まれたその場所から上を見上げたとき、自分がいかに過酷な状況におかれているかが分かって、それこそ、身震いするそうな恐怖感が襲ってきた。

「助けてー!助けてー!・・・」。
この定番の呼びかけを大声で叫んだのは、後にも先にも、このときだけである。
しかし、私の声は、船と堤防の間に虚しくこだまするだけで、上にいる誰かに届くことはなかった。

その時、私が一番恐れたのは、溺死よりも、船と堤防の間に挟まれて圧死することだった。
堤防と船との距離は、時に遠のき、時に近づいて、ちゃぷちゃぷと、不気味な波音を響かせていた。
ドラム缶の角度を操りながら、船が堤防に寄ってきても、身体が挟まれないようにすることに懸命だった。
この作業が、不思議と恐怖感から救ってくれて、私は、ドラム缶にしがみつきながら、船との距離を保持していた。

ところが、晩秋の夕暮れ時の冷たい水が、急速に体力を奪っていった。

私は、だんだん眠くなってきて、ドラム缶に揺られながら、依然、ぷかぷかと浮いていた。
たぶん、私はほとんど眠り込む寸前だったと思う。
これまで、身体中、水の冷たさが痛いように感じていたのだが、ある瞬間を境に、とっても気持ちのよい恍惚感に変わったのだ。
その時の不思議な感覚は、今でもよく覚えている。
何だか、母親の胸に抱かれているような安心感とふわふわ宙に浮いているような気持ちの良さ・・・。

どのぐらいの時間、そうしていたであろうか。
「お~い!お~い!・・・」。
私は、それも、夢の中で聞いたようなような気がして、すぐには気が付かなかったかもしれないが、上を見上げると数人の人影が堤防からのぞき込んでいた。

助かった!という感じではなく、それも、夢の中の出来事のように感じた。
だが、実際、私は、上から差し出された竿をつかみ、数人の腕に引き上げられて助かったのである。

助けてくれたのは、顔の知らない中学生数人で、船に釣り竿とバケツだけが転がっているのを見て、変だと思って下を覗いたのだという。

その中学生たちは、盛んに何かをしゃべっていたが、私の耳は、真空状態のようで、何を言っているか、詳しくは分からなかったが、笑いながら、お互いに冗談を言い合っていて、会話の端々に「馬鹿・・・馬鹿・・・」という言葉だけが連発されていた。

帰り道のことはまったく覚えていないが、家に帰って、玄関を開けるなり、全身びしょぬれの私を見て、「どうしたのぉ?」と聞かれた。
「川に落ちた」と私。
「じゃあ、すぐに風呂に入りなさい!」とだけ言われた。

命の恩人たる中学生たちと、子細を追求をしなかった家の者に、私は感謝の念で一杯になった・・・。

たとえば、縄文の子どもたちも、海や川で私のように釣りをすることもあったに違いない。
私のような「馬鹿」なことはするはずはないが、不運にも、命を落とすこともあったはずである。
だが、そういう子どもたちの「運命」に、回りの子どもたちは何かを学び、親たちも、人間の死の「意味」を理解したと考えたいものではあるが、「運命」だとか「意味」というような賢しらな近代語を操って説明されることは、彼らには、心外かもしれない。

もう一つの「死線を歩いた話」は、また、後日に書くことにしよう。

走行距離35キロ(クロスバイク)

思い出    Comment(3)   TrackBack(0)   Top↑

Comment
怖いですね。 Posted by しゃあ あずなぶる
意外に、小さなミスの僅かな重なりで、重大な結果を招いたりするそうです。
2009.11.14 Sat 08:22 URL [ Edit ]
連投ゴメン。 Posted by しゃあ あずなぶる
ボクが「死ぬかも」って思ったのは、娘が生まれるちょっと前です。
14年前ですね。4ヵ月で50キロ激痩せ。110キロから60キロに。
医者に掛かっても、原因不明ってのがイヤでした。
「こりゃ、死ぬのかな?」って思いましたが・・・・ジワジワ来る恐怖みたいで何ともイヤな気分でした。

体重は、これまた原因不明で5年ほどで90キロに戻りました。
2009.11.14 Sat 08:46 URL [ Edit ]
不思議です Posted by 断腸亭髭爺
しゃあさん

昔は「安全」管理と言っていましたが、最近は「危機」管理と言いますね。

安全は管理できないことはないけれど、そもそも危機は管理できないと思います。

14,5年前、私も、原因の分からない、身体的な大不調がありました。

世間で言う「厄年」のようなもので、身体の曲がり角だったのではないでしょうか。
私の場合も、自然と治りました。

不思議です。
2009.11.15 Sun 00:22 URL [ Edit ]

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