日々の身辺雑記や考えたことなどを徒然なるままに書き連ねる「断腸亭日録」です。
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断腸亭日録~自転車日記
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2009.10.14 Wed
旅する「望郷」としての寅さん
【本当の旅人ではない寅さん】

寅さんは、 一年の大半を旅の空で暮らしている。

「これからは寒くなるからよぉ、南の方にでも行ってみるさ・・・」

たとえば、そう言って、京成金町線の柴又駅から、ぷいっと旅立って行く。

そして寅さんは、行った先々の、旅情たっぷりの町並みや風景を旅するだけでなく、時に無謀にも、そこに住む人と、深く関わろうとすることで「物語」が発生するわけだ。

寅さんこそ、筋金入りの旅人のように思う人も多いかもしれない。
私が寅さんシリーズに引かれる理由の一つも、確かに彼のする各地への「旅」が、何とも魅力的だからである。

ところが、よくよく考えてみると、寅さんは、「本当の旅人」ではないのではなかろうかと思えてくるのだ。
これは、寅さんも、同意してくれそうな気がする。

彼は、日本列島のどこを旅してしていようとも、片時も、葛飾柴又を忘れていない。
というより、葛飾柴又を「望郷」するために、旅をしているようなところがある。

旅先で彼が深く関わった人は、結局は、必ず柴又の寅屋にやって来る羽目になる。
寅さんは、行った先々の風土に己を投入できず、むしろ、旅先で知り合った相手を、彼の「柴又」の側に引っ張り込んで同化させてしまうのだ。

旅の空
どうせおいらは
ヤクザな旅人
柴又背負って
ヤドカリ生活

彼の大きなカバンに詰まっているのは、本当は、露店の商品ではなく、彼のこころの中にある「葛飾柴又」なのかもしれない。

柴又駅
(京成金町線「柴又駅」)

【寅さんの帰り方】

寅さんシリーズで、面白いことのひとつは、冒頭の夢のシーンと並んで、彼の「帰り方」がある。
こっぱずかしいのか、店(寅屋)の前を行ったり来たりして、ちょうどやって来た郵便配達人の陰に隠れて入ってきたり、何と、九州からタクシーで店の前まで乗り付けたり・・・。

ただ、なぜか、私が以前から気になっていたのは、寅さんが旅から東京に戻り、柴又に来るまでのルートの方である。

これには不思議に思っている人も多いかもしれないが、寅さんが江戸川の土手の方から帰って来ることがある。
もっと、首をひねったのは、矢切の渡しに乗って柴又入りする寅さん。

矢切の渡し
(矢切の渡し)

柴又駅へのアクセス事情をご存知ない方には、何を言っているのか分からないかもしれないので、簡単に説明しておこう。

まず、地方から戻ってきた寅さんの終着駅は、まあ、上野駅であろう。
その上野駅から京成金町線の柴又駅に行くルートは、普通に考えれば次の二つしかない。

A. 上野駅から京成線(本線)に乗り、高砂(たかさご)駅で京成金町線に乗り換え、一駅で柴又駅

B. 上野駅から常磐線普通(国鉄/JR)に乗り、北千住駅で各駅停車に乗り換え、さらに、金町(かなまち)駅で京成金町線に乗り換えて、一駅で柴又駅

どちらにしようか迷うところだが、最終的に京成金町線に乗るしかない以上、上記二つのルートしか考えられないわけだ。

だから、矢切の渡しに乗って柴又入りするというのは、普通に考えれば、あり得ない選択である。

矢切の渡しを使って帰るためには、上野駅から京成線に乗り、江戸川を渡り、わざわざ千葉県側の国府台(こうのだい)駅(市川市)で降り、そこからまあ、松戸市側の矢切の渡しまで、葱畑の中を40分ほど歩いて・・・ということになってしまうのだ。

ただしかし、矢切の渡しに乗って帰ってくる寅さんという映像は、主題歌が流れながらの映画冒頭のシーンとして、実に「絵になる」わけで、これをば、糾弾するつもりは毛頭ないのだが・・・。

【いずれのルートを選んだか】

ここで、敢えて考えてみたい。
寅さんは、果たして、上記のAとBのルートのいずれを選んだのであろうか?ということを。

「あら、いつもすまないねえ・・・」。

寅さんが地方から帰ってきて、土産を渡されたおばちゃんは、あまりありがたくなさそうに、そんな風に、型どおりの礼を言う。

15センチ×15センチぐらいの小箱のその土産、果たして中身がなんなのかはわからないが、いかにも、上野駅に着いてから、急に思い立って買い求めたという感じの品。

さながら、酔っぱらって午前様になった亭主が、せめてもの罪ほろぼしに、飲屋街の寿司か何かを持って帰り、「おい、これ、みやげだっ!」と言って、その視線を避けながら奥さんに渡すような、そんな土産物。

そうなのだ。
ここでも、寅さんは、「地方」を柴又に持ち帰ることに興味がないのである。

さて、それはともかく、上野に着いた寅さんだが、その後、どんなルートを取って柴又に帰るのか?

繰り返しになるが、再度、二つのルートを記しておこう。

A. 上野駅から京成線(本線)に乗り、高砂(たかさご)駅で京成金町線に乗り換え、一駅で柴又駅

B. 上野駅から常磐線普通(国鉄/JR)に乗り、北千住駅で各駅停車に乗り換え、さらに、金町(かなまち)駅で京成金町線に乗り換えて、一駅で柴又駅

「常人」ならば、大抵の人は、Aのルートを選択するはずである。
乗り換えが一回で済むし、時間的にもやや早いからである(京成上野駅から、運良く「金町行」に巡り会えば乗り換えなし)。

だが、寅さんは、断じて、Bのルートをたどったはずだと、私は確信する!

どうだろう、私はそうなのだが、長旅から戻り、終着駅に着いたときに、なぜか、そこから一気に家に帰る気がしないということはないだろうか?
旅の時間から日常の時間に「切り替える」必要があるような、何となく、一拍置きたい気分になるものだ。

それなら、上野で降りて一杯やっちまえばいいじゃないかと思うかもしれないが、それは違う。

やはり、そういうときは、「今、私は、家に帰っている途上です」という感覚がほしいものだ。

そんなとき、Bルート上にある、常磐線と京成線が接する「金町」は、絶好のポイントであると言わざるを得ない。

金町は、一見、中途半端な街に思えるかもしれないが、見方を変えれば、それは、国鉄駅前的な雰囲気と私鉄駅前的な雰囲気とがうまく合体している場所とも言えるのだ。
乗り換えるために、一端、街に出なければならないというのも、おあつらえむきである(この要素は大きい)。

たとえば、金町駅京成側の最初の小さな踏切を渡ると、水戸街道(6号線)まで、小さな路地が延びているが、そこは、葛飾でも屈指の優良居酒屋が並んでいる一帯である(別名、「モツ焼き街道」)。

蓋し、寅さんは、こんな路地の飲み屋に入り、旅の時間を清算し、京成線の踏切の音を聞きながら、たった一駅先の故郷柴又に戻る心の準備をしたに違いない。

それから、忘れてならないのは、電車賃。
旅から帰ってくる寅さんは、上野までの切符を買うはずだが、当然その切符は「東京電間」(古い言い方ですが)で、常磐線金町駅までカバーしている。
従って、上野駅から京成線に乗る場合よりも、2級酒一杯分ぐらい、柴又に行くには安いのだ(現在の価格だとルートBの方が、130円安い!)。

金町駅。
実は、現在私が住んでいる街であるが、見方によっては、実に懐かしさを感じさせる街である。

金町駅は、旅から戻ってくる寅さんにしてみれば、確かにほんの一駅先に故郷柴又を控える場所ではあるが、同時に常磐線の顔も持っていて、それは、常陸の国へと延びる、新たな旅情への出発点でもあるのだ。

モツ焼き街道
(京成金町駅近くの「モツ焼き街道」)

走行距離:2キロ(ママチャリ)

映画の日々    Comment(12)   TrackBack(0)   Top↑

Comment
よーく分かります Posted by 相子
先ごろ初めて柴又に行きました。千代田線金町で乗り換えましたが、あの乗り換えっておっしゃる雰囲気がよく分かります。帰りは私はスキー部部長と金町でゆっくりコーヒーを飲み、お喋りの時間をとり、千代田線に乗り帰宅しました。
2009.10.14 Wed 13:03 URL [ Edit ]
仕方ないかなぁ。 Posted by しゃあ あずなぶる
寅さんの「旅」はしたくてしている「旅」じゃないと思います。
柴又に居られなくなって、「旅」に出る。時には引き止められつつ。

ボクが「温泉旅行」に行く時は、帰るウチがあって帰る事が前提です。
「仕方なく旅に出る」寅さんは、ボクよりもずっと「帰りたい人」なのかも。
2009.10.15 Thu 05:28 URL [ Edit ]
以前は、 Posted by 断腸亭髭爺
相子さん

5~6年ほど前までは、まだ京成金町駅は、旧駅舎で、自動改札でなかったので、もっと風情がありました。

また、バスターミナルも、現在のように整然としたものではなくて、独特な雰囲気がありました。
2009.10.15 Thu 10:16 URL [ Edit ]
哀しい性 Posted by 断腸亭髭爺
しゃあさん

とは言え、寅次郎は、一所にいられるような男ではないですね。

そこんところが、哀しいというか・・・。
2009.10.15 Thu 10:19 URL [ Edit ]
朝帰りの男の心境 Posted by nebaneba
断腸亭髭爺様
寅さんは小心者なんですね。
まっすぐ帰宅したくない、あるいは旅先での思いを引きずったまま帰宅したくない場合、直近のルートは使いたくない。
1拍おくことによって、その思いを断ち切る、あるいはずっとここに居たイメージをわかせるために柴又近辺をウロウロしてから帰る。

浮気した日の朝帰りの時と同じ心境?

そのくせ気に入らなくなると直ぐ家を飛び出す。
そのときは直近の柴又駅から出て行くのです。
2009.10.15 Thu 13:55 URL [ Edit ]
Posted by やまびこ
わたしも旅に出たら帰宅したくないタイプ(^^)

中学からずっと電車通学でしたが、京成電車はできれば乗りたくなかったです。あの頃は妙に田舎臭くて汚い感じがしてね。
国鉄や地下鉄利用する方がなんとなく「都会に出るぞ!」と気運が上がって上野まで行くのにわざわざ浅草で乗り換えて銀座線で通ったりしてました。
今では京成に乗るとほっとするけれど・。

寅さんは女性からみるとやっぱり歯痒いかな。
その歯痒さが希少価値ですてきなところなんでしょうけど。
2009.10.15 Thu 15:24 URL [ Edit ]
金町ルートは間違いです。 Posted by 横山
断腸亭さん こんばんわ♪

 まずは地域研究の学者らしいご考察、恐れ入ります。が、根本的なところで研究の方向を間違っていますね。
 寅さんの生業を思い出してください。そう、テキヤさんなのです。彼はなんとなく実家に居づらくなって(映画はそのように表現されますが)旅に出るのではなく、旅をして物販をするのが仕事なのです。祭りの市が立てばそこに赴き、地場の親分に仁義を通してショバを得ては切った貼ったの口上で、商品(彼は衣類が得意のようです)を売りさばく。
 したがって、上野から実家に帰郷するという想定自体が間違っているのです。たとえば、船橋や市川の各寺社の縁日、あるいは東葛方面の市民祭りに参加するという方法もあるでしょう。したがって、矢切の渡しから柴又に帰るのも不思議ではなくなります。
 テキヤさんにかぎらず、デパ地下で各地の物産を販売している地方メーカーの売り子たちを想像してください。ほぼ一年をつうじて旅から旅の日々で、移動は電車ではなく商品を積んだワゴン車だそうです。教訓→フィールドワークを大切に。ではまたv-283
2009.10.15 Thu 21:09 URL [ Edit ]
ご無沙汰です! Posted by kaccin
今日、香港から帰ってきました。
ルートは香港ー成田、成田ー高砂(京成)-京成金町、
(途中で柴又通過) JR金町ー新松戸でした。
なんで成田は同じ千葉なのに江戸川わたらにゃならんのだと、いつも思うのですが。寅さんとは無関係ですが、
思わず書き込んでしまいました。
また、一緒に走りましょう。
2009.10.15 Thu 22:01 URL [ Edit ]
そうなんですねえ Posted by 断腸亭髭爺
nebanebaさん

そうなんですね。
出て行く時は、夜昼問わず(しかも帰ってくる場合と同様いつも急ですが)、決まって京成金町線の高砂方面行きに乗るんです(しかもちゃんとシーンとして描かれています)。
なぜ、逆の金町行きには乗らないのかというところから、「帰り方」にも興味を持ちました。

でも、出発の心持ちとしては、出るときは、とにかくなるべくストレートに始発駅(上野)に行きたいと感じるのは、私の場合も同じなので、これは分かるような気がします。

寅さんの場合、出るときは、上野に着いてからかえってグズグズしていることが多いようです。

どの作品か忘れましたが、ラスト近くで、その作のゲスト?とさくらがタクシーに乗って、柴又街道を金町へ向かうというシーンがありました。

さくらが、たぶん、柴又にやってきたその客を金町駅に送っていく場面だったと思いますが、なるほど、寅さんの出発の仕方とわざわざ違うルートを行かせたかったのだなあと思って感心しました。
2009.10.15 Thu 22:19 URL [ Edit ]
歯がゆいですねえ・・・ Posted by 断腸亭髭爺
やまびこさん

現在は、京成線も大分高架化されて、涼しげな顔をして走っていますが、以前は、地べたを一生懸命に走っている田舎列車ような風情があって、私は好きでした。
あと、京成線は、駅名がいいですね(たとえば、「お花茶屋」なんて)。

寅さんの女性に対する歯がゆいような特性というのは、たとえば、高倉健あたりも共有しているような気がします。
妙に「奥手」というか、何というか・・・。

無法松の一生の主人公も、このタイプに属していて、あのあたりから、ず~っと流れているような気がします。
2009.10.15 Thu 22:53 URL [ Edit ]
寅さんの話は楽しいですね Posted by 断腸亭髭爺
横山さん

いや、別に地域研究をしているつもりはなくて、寅さんシリーズで気になっている点を考えてみただけです。

現実のテキ屋の生活からすると、横山さんの視点はすこぶる正しいと思いますが、私の金町経由説と同様、それを示すシーンがない以上、楽しい想像の域を出ません。

ただ、もし私がテキ屋で、自分の地元近くに複数の現場があるのなら、その期日にきちんと合わせて帰郷して、一番経費のかかるはずの宿代を浮かせるために、先ずは実家(拠点)に直行すると思います。

事実、作品でも、柴又に逗留中の寅さんは、(あまり熱心とは言えませんが)浅草界隈や都内で仕事をしているシーンが出てきます。

しかし、九州からタクシーで帰ってくるような突飛な行動を取る寅さんですから、矢切の葱畑の中を歩いて、矢切の渡しに乗って帰ってくることがないとは言えないと思います(ただし、渡しが営業している日でなければなりませんが)。

矢切の渡しを使って帰って来るのは、作劇上の効果を狙ったものだと私は思います。
ただ、山田洋次の場合、その作劇上の工夫が実に精緻で、考え抜かれているので、見る度に新たな発見するような気がして、テレビなどでかかると必ず見てしまいます。
2009.10.15 Thu 23:05 URL [ Edit ]
お帰りなさいませ Posted by 断腸亭髭爺
kaccinさん

旅ばかりのkaccinさんは、まるで、寅さんのようですね(ブログは拝見してますよ)。

確かに、成田からお帰りになる場合、江戸川を二回も渡らなければならないわけですね(いや、もしかして飛行機で既に上空を何回か渡っているかもしれないので、もっと何回も渡っているかもしれませんが)。
徒労感を感じますね・・・。

それこそ、羽田が使えれば便利ですね。

ここ数日の出来事ですが、千葉県知事の演じた茶番には呆れましたが、自民党の代議士が、「土地を手放さなければならなかったという成田の人々の大変な苦労のことを考えなければならない」というようなことをイケシャーシャーと言っているのを聞いて、耳を疑いました・・・。

2009.10.15 Thu 23:28 URL [ Edit ]

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