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断腸亭日録~自転車日記
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2007.11.17 Sat
越後路1~『雪国』の冒頭
越後路1

道の起源は、獣道(けものみち)だったに違いない。
太古の人々は、獣道を認識し、その道を行きつ戻りつしながら獲物を捕獲する算段に心血を注いだ。
動物の歩いたその道を歩くことで、文字通り、獣道を「踏襲」したのである。

その獣道を徘徊するうちに、川筋の流れが蛇行する川瀬への確かな道を発見したに違いない。
そこは、漁獲への手段に通じる道であり、獲物が水辺を求めてやってくる狩場であったから。

川筋の道を辿って、やがて海への道を見いだしたに違いない。
それは、自分たちの住む土地の終わりであると同時に、新たな土地への始まりである。

新たな土地は、必ず、新たな「島」であった。
地球上のあらゆる土地は、例外なく、島だからだからである。

道は、こうして、そもそもが暮らしの歴史が踏み固めた痕跡であった。
ところが、ある時代から、その暮らしの道を横領し、上から踏みつぶすように、権力の道が走るようになった。

首府と地方都市を結ぶ「街道」である。

五街道。
国道。
トンネル、高速道路、そして鉄道・・・。

「国境(くにざかい)の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。・・・」
言わずと知れた川端の『雪国』の冒頭である。

いつ思い返しても、名文だと思う。
川端が、1930年代に抜けたこのトンネルは、当時、完成したばかりの清水トンネル。
それまでは、迂回する峠越えのルートを走っていたため、上野から新潟まで11時間以上を要した上越線も、この「超近代的」なトンネルの完成によって、大幅に所要時間が短縮されたという。
そういう意味では、近年の青函トンネルや瀬戸大橋にも匹敵する運輸網拡大の記念碑的なトンネルであったわけだ。

谷川岳の真下を貫く清水トンネルの長さは、約10キロ。
蒸気機関車は、トンネル内は徐行運転をしたはずなので、平均時速は30キロ程度だったに違いない。
とすれば、このトンネルを抜けるのに、20分は要したであろう。

汽車に乗ったことのある人なら、分かるだろうが、あれに乗ってトンネルを抜けるのは、乗客にとって難行苦行で、石炭のむせかえるような臭気と煤で、喉は苦しいは、顔は真っ黒になるはで、鉄橋を渡るのは嬉しいが、トンネルは我慢勝負の暗黒空間だったにちがいない。

川端が、「長いトンネルを抜けると雪国であった」と書くとき、「やれやれやっと抜けたよ」と、溜息混じりに深呼吸するようなほっとした心持ちを感じ取ることができる。
しかも、煤と闇の真っ暗なトンネルから抜け出すと、そこは、白一色の雪国。
真っ黒になった顔を、それこそ、雪で雪(すす)ぐような白が冴えて、なおさらに「夜の底が白く」見えるのである。(続く)

   Comment(2)   TrackBack(0)   Top↑

Comment
Posted by 梅
清水トンネルは、設計時から長大トンネルになることが分かっており開業当初から電化されていました。「雪国」の列車も電気機関車が牽引していたはずです。
2010.03.14 Sun 18:52 URL [ Edit ]
要再読 Posted by 断腸亭髭爺
梅さん

コメント、ありがとうございました。

実に有益なご指摘で、眼から鱗が落ちるようでした。
清水トンネル自体も、時代の最先端を行く工事だったのに加えて、蒸気機関車ではなく、電車を走らせていたとは驚きました。

「信号所に汽車が止まった」という一文に、完全に騙されてしまいました。
もしかして、作者は、意図的に蒸気機関車だと思わせようとしたのかもしれません。
電車か汽車かで主人公の島村が「雪国」へ移動する意味合いが変わってくるように思います。
そういう眼で、作品を再読してみたいと思います。
2010.03.15 Mon 03:32 URL [ Edit ]

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