日々の身辺雑記や考えたことなどを徒然なるままに書き連ねる「断腸亭日録」です。
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断腸亭日録~自転車日記
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2009.06.26 Fri
この2日間~お袋の手術など
6月25日(木)

雨に降られるかもしれないと思ったので、ルイガノクロスで出かける(結局、降られなかったが)。

夕方、本郷の病院で、青森から出てきた妹、会社帰りの呑ちゃんと合流。
いよいよ明日は手術。

いつもはがらっぱちのお袋だが、やはり、不安なのか弱音が出る。
夕べの医師の説明によると、かなりの大手術にて、私の心にも緊張の痛みがうずく。
妹も、あまりの大手術の予定に驚いている。
お袋は、今夜から絶食。

同室の大島から入院している患者さんのご家族と話しをする。
大島の人は数人知っているけど、みんな、気持ちが大きくて暖かい人なんだなあと得心する。

御茶ノ水駅前の沖縄料理店で、遅めの夕食。

IMG_2361.jpg
(沖縄豆腐の奴とゴーヤの唐揚げ)

走行距離:35キロ(ルイガノクロス)

6月26日(金)

いよいよ今日は、お袋の手術。

フジクロスに乗って、朝7時に病院へ。
全点滴状態で、手術着に着替えたお袋が小さくなってベッドに横たわっていた。

8時半、ストレッチャーに乗せられたお袋を、妹と二人で、手術室入口まで見送る。
お袋の顔、不安で歪んで、涙が出る。

お袋の手術が始まってから、妹と交替で、待合室でひたすら待ち続ける。

妹は、息子が来春高校受験だというので、病院から近い湯島天神でお札を買って戻ってきた。
私は私で、腹が減ったので、近所のラーメン屋に行ったりした。
ただ、お陰様で、久しぶりに妹とゆっくり話しができた。

待合室に、植村直己の『北極圏一万二千キロ』が置いてあった。
凍結したグリーンランドから沿岸の氷海を犬橇でアラスカまで走破した記録で、手持ち無沙汰に読み始めたら、面白くて全部読んでしまった。
猟銃で獲物を捕らえながら、やっとのことで食いつないで冒険を続ける植村の姿に胸を打たれる。
犬との駆け引きが特に面白かった。

それでも、手術は終わらないようなので、やはり待合室の書棚に置いてあった志賀直哉の『暗夜行路』(新潮文庫)を読み始める。
志賀直哉は、それはそれはすごい作家だと思うけど、どうも私とは波長が合わなくて、若い頃から「悩みの種」の作家である。
真面目も真面目、大真面目に書いている志賀直哉だが、彼の有名な「和解」のテーマなどは、私には何だか滑稽にしか感じられない。
20年ぶりぐらいに読み返す『暗夜行路』は、案の定、私にはピンと来ない。
どうしてなんだろうか・・・。

それで、巻末の阿川弘之の解説を読んだ。
私には意外にも、なかなか勘所を押さえた秀文のように思われて感心する。
同じく巻末に収められていた荒正人の解説の方も読んでみる。
若い頃はあんなに親近感を覚えていた荒正人の鋭利な文章は、今の私には理屈っぽくてまったく面白くない・・・。
どうしてなんだろうか・・・。

終了予定の16時半になっても、終わる気配は一向にない。
妹と二人、もじもじしながら部屋の時計を見つめる。

17時半になって、やっとお呼びがかかる。
手術室に行って下さい。医師から、手術の結果の説明があります、と看護婦さん。

手術室の入口で待っていると、白衣を着た長身の医師が空豆形の銀色の皿に茶色い物体をのせて飄々と現れた。
その皿にのっていたのが、今回の手術で切除した部分。

今回のお袋の手術では、実に複雑な消化器の付け替えが行われた。
膵臓の半分を切断、十二指腸の上の部分を切断、胃の下の部分を切断、肝臓から延びている胆管を切断。
そんなふうに、ぶつぶつ切っておいて、それを付け替えるという手術である。
前々日に、ホワイトボードで詳しい説明を受けたのだが、付け替えと言っても、元のままに修復するのではなく、何だか複雑な繋ぎ方をするのである。
私は、その説明を聞きながら、まるで、江戸時代の利根川の付け替え工事のようだと思った。
と同時に、人間の身体をこんな風に切ったり貼ったりするのは、何だか殺生なことだなあという感想を禁じ得なかった。

皿に載っていたのは、膵臓と十二指腸の上の部分と胃の下の部分が一体になった部位で、茶色にてらてらと輝いていた。
医師は、指でその切り取られた臓器をひっくり返したり、持ち上げたりしながら、手術の概要を淡々と説明してくれた。
あたかも、これから調理する食材を説明するコックのように・・・。
これには、妹はちょっと参ったようで、ハンカチで口元を押さえていた。
私は、先ほどまで読んでいた植村直己の本の中の、ライフルで仕留めたばかりのカリブーの肝臓を生で食べるくだりを思い出していた。

それから、待つことさらに3時間。
やっと集中治療室で面会できる運びになった。

お袋は、かわいそうに、何本もの管(くだ)に繋がれて、苦しそうに呼吸をしていた。
大変だったねえ、よく頑張ったねえ。
手を握って、声をかけると、気がついたようで、何かを話しているのだが、よく聞き取れない。
その様子を見ていると、こちらまで息苦しくなってくるような気分である。

沈痛な気分で病院を出た妹と私は、御茶ノ水橋からしばらく神田川の川面を見つめていた。
駅の明るい光が川面に反射して、その中にお袋の横顔を見つけたような気がした。

IMG_2315.jpg
(聖橋横から神田川を覗き込む)

走行距離:35キロ(フジクロス)

日録    Comment(6)   TrackBack(0)   Top↑

Comment
Posted by nebaneba
断腸亭髭爺さま
お母様の早期のご回復をご祈念申し上げます。
お母様のほうが「断腸亭」であることが皮肉ですね。
ご自愛ください。
2009.06.29 Mon 09:51 URL [ Edit ]
歳の所為でしょうか Posted by 相子
このような手術のこと。手術を受ける人、待つ人の心情を思いますと涙が自然に溜まって来ます。

誰かがこちらを見たら目から溢れてしまいそうです。お大事になさいますよう。
2009.06.29 Mon 12:31 URL [ Edit ]
座布団一枚! Posted by 断腸亭髭爺
nebanebaさん

お見事!
座布団一枚!です。

これ、明日病院に行ったとき、お袋に披露します。
傷口が痛むので、笑わせないでくれと言われるかもしれません。

コメント、ありがとうございました。
2009.06.29 Mon 22:51 URL [ Edit ]
感謝 Posted by 断腸亭髭爺
相子さん

共感して下さいまして、ありがとうございます。

物事は、悪く取ればきりがないし、良く取ってもきりがありません。

どうせなら、こういう場合は、良く取る方へと舵を切ることが大切なんだなあと、妹と話しました。

お陰様で、お袋は、急速に快復しつつあります。
2009.06.29 Mon 22:58 URL [ Edit ]
複雑です。 Posted by しゃあ あずなぶる
このところ母、友人と手術や怪我が相次いで・・・。
その本人は、もちろん大変なんですが、周囲の人間模様に考えること大です。

断腸さんの御家族は仲が宜しいですね。
お母さん。お大事に。
2009.06.30 Tue 03:51 URL [ Edit ]
人恋しさ Posted by 断腸亭髭爺
しゃあさん

お袋は銚子。
妹は青森。
私は東京。
そして、親父はあの世。

みんな離れて暮らしているので、基本的に「人恋しさ」みたいなところがあります。

確かに事故などがあると、人間関係が露呈することってありますね。
2009.06.30 Tue 07:28 URL [ Edit ]

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